『やちむんの里』 読谷村座喜味
天日で乾かされる器

 

沖縄は焼き物の盛んな土地。

その中でも特に、読谷村には多くの陶工が窯を構えています。

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読谷山焼共同売店

 



今回ご紹介したいのは、現在50以上ある読谷村の窯元のうち14軒の窯元が集まる工芸村『やちむんの里』。

ちなみに、「やちむん」とは、沖縄の方言で焼き物のことです。

『やちむんの里』のご紹介の前に、沖縄(琉球)の焼き物の歴史と『やちむんの里』ができた経緯を少々。

琉球の焼き物の歴史は、600年ほどさかのぼることができます。

この間、中国や朝鮮、日本、東南アジアの国々の影響を受けながら、琉球独自の焼き物は作られてきました。

今から約330年前の1680年頃、琉球王朝の尚貞王は那覇周辺に点在していた窯場を、壺屋(現在の那覇市壺屋)に集めて陶業の発展を図ります。

こうして壺屋は琉球随一の窯場として国内向けはもちろん、輸出にも貢献するほどに。

その後、太平洋戦争で沖縄は全土がダメージを受けましたが、壺屋は比較的戦災が軽く、戦後徐々に再興が図られていきました。

しかし、1970年代に入ると、薪を焚く黒煙による公害のため、市街地での登り窯の使用が出来なくなり、登り窯での制作にこだわる陶工たちの多くは、読谷村に窯を移すことに。(登り窯とは、斜面に沿って焼き窯を連ねた全体のこと。一番下にある焚き口で燃やした炎の熱が、内部を登りながら上の窯に達する造りになっており、一度にたくさん焼くことができます

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無造作に置かれた焼き物

 

『やちむんの里』の起こりは、1980年(昭和55)。各地から4人の窯元が移転して、赤瓦屋根の工房と9室連房の共同登り窯、『読谷山窯(よみたんざんがま)』を造ったのが発祥。

その後、1991年に若い陶工達が県内最大となる13室連房の登り窯を造り、読谷山焼北窯としました。

現在、沖縄の一大窯場となったこの『やちむんの里』には、広大な敷地の中に14軒の窯元が建ち並び、各々に売店、ギャラリーなどが併設されています。

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読谷山窯



4月某日、久しぶりに『やちむんの里』に足を運んでみました。

国道58号の喜名交差点から県道12号へ入り、住宅街を抜けると、ガラスや焼物の工房が集まる『やちむんの里』へ到着。

とても静かで、穏やかな風が吹き抜け、時間の流れがゆるやかな場所です。

緑に囲まれた自然豊かな立地も、この一帯の魅力のひとつ。

車を降りて、1軒1軒、工房やギャラリーを見て歩きます。

人里離れた緑豊かな自然の中に佇む沖縄特有の赤瓦屋根の工房。

そこから沖縄の風土や文化に培われた焼物がつくられるのです。

しばらく工房をはしごし、開けた場所に出ると、読谷山焼の『共同売店』とその裏手に”9室連房”の共同登り窯『読谷山窯』が目に入ってきました。

どっしりと建つ登り窯の存在感は圧巻。

共同窯から下ったところに は北窯 があり、横の作業場はL字型の大きな長屋になっていました。

読谷山窯内部.やちむんの里,やきもの,読谷村座喜味
読谷山窯内部

ところで、陶工たちは、日々それぞれの工房で創作に励みます。

そして、年に5回ほど作りためた作品を登り窯に入れ、交代で火を見張り続けて、4日間炎を絶やさずに焼き物を焼き上げるそうです。

商品となる焼き物は、釜の内部の温度が10℃違えば、表面の釉薬が溶け落ちてしまうほど微妙な温度調整の賜物だそうです。

窯で作品を焼き上げるのが焼き物作りのクライマックスだとすれば、最初の山場は土探しと釉薬づくり。

上焼(釉薬をかけたもの)の場合、基本になる赤土と、表面を覆う化粧白土(原料はサンゴ)、釉薬の3層になっているとのこと。

釉薬の原料はもみ殻や琉球松などの灰で、これが高温で焼かれることで美しい光沢と色が出るそう。

植物の種類によって色や透明度に違いが出るので、灰の配合の妙が窯の個性を際立たせる色味をつくるといわれています。

そうしてできた土を、ろくろをひいて成形し、乾燥させて削りを入れ、釉薬で絵付けを施し、乾して、ようやく窯詰めの行程へ至ります。

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読谷山焼北窯横の作業場内部

以上のような創作活動を間近で見てみたいと思われるかもしれませんが、 陶工が創作活動を行っている工房に、勝手に入るのは厳禁とされています。

邪魔をしないよう、外から眺めること。

それでも、大量の土を人力のみでこねる場面や、窯に入る前の乾燥段階の器がずらりと並ぶ様、窯元のもとで修行中の若者たちが、額に汗して立ち働く姿には、感動すらおぼえますよ。

作陶に励む職人たち。普段なかなか見る機会のない、器が生まれる光景に感動しながら、工房に併設されたギャラリーや売店で、お気に入りの焼き物探し。

カフェなどもありますので、ゆったりとした時の流れに身を任せて、読谷の自然を満喫しながらのんびりと、焼き物巡りを楽しんでみてはいかがでしょうか。

金城敏男窯,やちむんの里,やきもの,読谷村座喜味
金城敏男窯

 

金城明光工房,やちむんの里,やきもの,読谷村座喜味
金城明光工房

 

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ギャラリーうつわ屋

 

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宮陶房

『やちむんの里』へのアクセスは、車の場合、那覇空港から国道58号線を利用して約50分。あるいは、沖縄道沖縄北ICより国道58号線経由で20分、喜名交差点より座喜味城跡方面へ5分です。